6月5日
写真を 撮る。「ホールマン、ホールマン」 と、毬とバットで 大威張り、大いに飛ぶ。ねんねの時、父昔ばなし。桃太郎さんがお山へ遊びに行ったと云ふと、「じてんしゃ のってった?」 と 訊く。 咳 でる。
6月7日
「お父ちゃん見ていろ、お母ちゃん見ていろ」。庭で毬を投げる上手い格好。障子張りの邪魔をして 子守に一苦労。 夜、父と共に、桃太郎や 鬼と亀の お伽噺にて眠る。
6月8日
早朝、足助さん布団つくりに来てくれる。保美が居れば困るので父、学校へ半日連れて行って下さる。ちょうど田植え休みなので、どんどん飛び歩き跳ね廻り大喜びで遊んで来た由。
午後、米子さかゑさん(宅)で お茶飲みして、いろいろ昔語りをする。
♪♪農繁休業:春と秋、田植え時期と稲刈り時期に各1週間程、小中学校は休校→普通、「田植え休み」「稲刈り休み」と呼んだ。:ちなみに、1月中旬の厳冬期には「年末年始休業=正月休み」とは別に、「寒中休業=冬休み」が2週間程ある。その分、「夏季休業=夏休み」は7月下旬からお盆(8月15日)までと、都会よりもズッと短い訳である。♪♪
6月11日
本通りへ行って一寸目を離したら、もう危なくなる。長いこと 居無いので心配して探したら、本通りからテクテク帰って来る処だった。
三輪車を片足で押して自由に舵を取り、どんどん押して歩く。上手くなった。
6月12日
父の後を追って、どんどん 山大(屋号)の方まで行く。後を付けて行くのにやっと。「お父ちゃんとこ行く」と、何処までも行く。油断が出来ぬ。
隣の田中さん方へ行き、「あめくれ」・「さつまいもくれ」 と ねだるので 困ってしまふが、さかんに言って ねだって しまふ。
6月14日
食糧営団のポンド(秤)借りて計る。体重、百味三メ百七十七匁 (11、7kg) 也。ぴちゃぴちゃ肥えて重い。
バス通って行く時、「お父ちゃん、手を挙げてみろ」 と、遠くの父を、母の背中で呼び掛ける。「保美、挙げてごらん」 と 云ふと、慌てて 挙げる。
「父ちゃん、御飯だに(なのに) 何しているだ」。
6月15日
障子をぐんぐん破ったり突っ込んだり。午後、入浴、綿の湯(下諏訪)へ。縞の着物にたっつけ姿の子は誰も無し。父バスの中で「こんな利口な顔をしている子は他に無いのに、こんな着物を着せているなんて」 と 不服。 湯(温泉)へは、父と美佐子と保美と三人で入る。 夜は お伽噺で 父と共に眠る。
6月21日
仁が三沢へ行き、保美ちゃんの服をお祖母ちゃんから戴いて来た。早速着せてみると丁度よい。その喜び様、嬉しくて跳ね上がって飛び廻る。寝る時も脱がぬと駄々をこねる。
6月22日
学校へ四年のPTAの会がある故、朝より出かけるのに、その新しい服を着せたら外へ出て、「よっちゃ、こうみろ。こうみろ(よっちゃん、此れを見ろ。此れを見ろ)」 と叫ぶ。何時の間にか声が聞こえぬが辺りに居る事と思っていると、居無いので大急ぎ、大通りへ飛んで行ってみたら、ちゃんと向こうの方に小さく見へる。びっくりして飛んで行くと「お母ちゃん!」とニコニコして居る。
どんどん廊下を走り飛び、姉ちゃんのとこ、見えず。お父ちゃんを見つけて、
「一緒に行く」とて泣く。弁当時、六年生へ入って行ってパンをねだって来る。
6月24日 裸になり、「裸ん坊〜、かくれんぼ〜」 と 唄ふ。
6月29日
研究会あり。ふじやの二階で弁当食べながらバスを見下ろして居る。眠くなると駄々をこねること、大声で喚く。
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