7月2日   
お父ちゃん誕生記念日。上諏訪へ講習にお出掛けの後へ五人、第二仲良組の人遊びに来る。酒一升と肉を下げて来る。 座敷へ一日中、食べる物を並べてあるので、保美を遊ばせる訳にゆかず、外へおんぶさせて遊ばせる。何だか皆の犠牲になっているようで可哀想。美佐子が道を歩かせていた由。
夜咳出る。二人、千弘さん、槙三郎さん泊る。いびきの大きさに一睡も出来ぬ母。父ちゃんが来れば、父ちゃんは抱かるもの也 として、甘へて抱かる。

7月5日
夜、蚊帳、吊り初め。乗っかって大喜び。やあやあ、やあやあと大はしゃぎ。

7月6日   よく眠る。蚊帳の中で。

7月8日   大掃除。畳を出して保美泣いたので外で遊ばせる。

7月9日   外で遊ばせる。

7月10日 
保美、五度も口からぱっぱっと驚く程吐いて、ぐったりなってしまふ。
百薬くれる。大心配。

7月14日   体重 二百七一匁
箸と お茶わん 持ち、一人で食べる。やらせぬと 無理に取る。ぽろぽろ 零しながら食べる。寝そべって本を読む。字を書く真似を、鉛筆でする。

7月17日
早朝より学校へ見学に。長い廊下を、ぴたぴたぴたぴた何処までも飛び歩く。父を見つけて抱からっと(抱き付こうと)思って、手を差し伸べ、ええええって云ふ。大きい声で背中で騒ぐので研究発表会は、まるで見る事が出来ず、他方で遊ばせていた。ぴたぴたぴたぴた喜んで飛ぶ飛ぶ、学校の廊下。

7月19日
おんぶして外へ出ぬと泣き喚く。夜、生花会。父に子守って戴く。

7月20日
砂を いじらせて居て、ようよう 頭を刈る。くいくい 動いて やらせぬので砂で騙す。知らないで居るうち、おしっこしていて、「ああっ」、ぴっちゃぴっちゃ とするので見たら、自らのおしっこを 吸っていて困った。夜、入浴。

7月21日
障子へ棒を突っ込む。ぐるぐる一人で廻って、ぐるぐるして目を廻して泣く。

7月22日
靴を履いて畑へ出る。日当りの水で行水をする。嬉しそうだ。毎朝どっさりの大便をする。

7月24日
折角美佐子が植えて咲いた花を、みんな毟り取ってしまふ。

7月25日   自分の小さいちんちを一人で引っ張ってみる。

7月26日
午後、大たらいで 湯で 行水する。父、乙事の対談会で 留守故、生花会に保美おんぶで行く。おちんち、さかんに引っ張る。

7月27日
下諏訪へ 花の奉納会 打合せ有り、下社の事務所へ行く。おぶい紐で柱へ長く 縛り付けておいて 会をする。まさしく保美の為の御柱だ。初めのうちは、ぐんぐん出て、後ろへ 引っ張られる如くで、どしん どしんと 引っくり返り 可哀想だが、慣れて来て よい子で遊ぶ。

7月28日
さんざん思っていた井口直美さんの出産祝いに出掛ける。もう大きくなっていた。家の中へ下ろすと一拍子、直ぐ花の所へ飛んで行き掻き廻す。お勝手へ行き、水いぢり。一寸も目が離せぬ。もう追っかけるのに大騒ぎ。
久しぶりに丸房へも訪ねる。もう花の水盤へ行き、ぴちゃぴちゃ手を突っ込む。危ない物を一つ無しに(1つも余さず)持ち歩く。お勝手へどんどん行き、柄杓や漏斗を持ち、叩き付ける。パンの美味しい丸いあんぱんを、ぽんぽん毬の代りに投げる。縁側の穴の所へ行き、パンを千切りみな落としてしまふ。碁石をどんどん投げる。もう保美の子守で大騒ぎ。おぢちゃんや房ちゃんにお守りしてもらい、御馳走になるが 冷汗が出る。
夜、布団へ おしっこは 大変と母、安眠 出来ず。 いくら よい家へ行っても、こんなに保美が 暴れれば、もう 何処へも行かぬ方が 宜しいと 考へる。


7月30日   写真撮影
下諏訪で 奉納会あり。今年は 母の体の調子が悪い事を言い、お手伝いに留どめ、ゆっくり行く。途中買物などして 昼近く行く。大勢来てやっている。
保美を下ろすと、もう大騒ぎなので、おんぶしっきりで居る。写真を三時近く撮る。斉一宮の所で保美と母も入る。
中新田へ出迎えて下さる父と兄、姉とに思いを馳せバスに乗るべく急ぐのに、つい間に合わず、富士見へ来る。上りトラックに頼み乗せてもらい帰る。兄ちゃん姉ちゃんも中新田まで迎えに出てくれた由、可哀想にね。
ああ家程よい所なしと思ふ。みんな嬉しい。
後で写真が出来たら、保美一人にっこり笑って写って一番よくとれていた。









         
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