12月2日 咳 出る。二晩 生花会。
12月3日 子守を 父に頼んで 出るのが 母 つらい。
12月4日
万年筆のよいのを弁当箱の蓋に叩き付けて、割ってしまふ。三輪車を一人で後から上手に押して歩くが、狭い座敷なので直ぐ引っ掛かると、きゃあきゃあ言って怒って泣く。
12月5日
夜、一寸外へ靴を履いて出たら、雪の中を ざくざく 歩かせたら 味を占めて、もう家の中に入るのを嫌がって、何時までも泣く。大きい泣き声だ。
12月6日 午後一時より 役場 ジフテリヤ予防注射
12月8日 窓辺の箱へ乗って、屋根へ出てしまふ。びっくりする。
12月9日
橇へ乗り、びしょびしょ。「靴、靴、靴」と喚く。日中、洗濯しそこない夜する。
12月12日
三沢へ行く。汽車の ついている電気を見て、あっちも、こっちもと、さかんに指を差す。 「ぽー」、「ブーブー」、「チリンチリン」。
12月17日 帰宅。
12月18日
役場へ百日咳予防注射に行って来て、夕刻より 吐き始めて 噴水の如く吐き続ける。お父ちゃん宿直にて留守、実に困る。早く夜の明けるのを待ち兼ねたが、待ち切れず 四時、冷たい様になり、呼んでも 目を変な様にしているので、どうか なってしまっては、と びっくり仰天。 仁、美佐子を起こして、少し離れた所の 元 保健婦 やった人の所へ 飛んでもらふ。 直ぐ来て下さって、ようよう 血の気が差す。
12月19日
午後二時頃まで 吐き続ける。お父ちゃんに 言い伝て 届いて びっくり。鮎沢さんに来診願って、2時来て下さってほっと一息。擬似小児コレラ症。水気をちょいちょい与える事。水分なくては吐くから体が干乾びた様になるとの事。
便が下るようになる。おむつの中へやる様にと、おむつをやっても嫌がって、「おんも、シイシイ」 と起きて やりたがり、体が答えぬ故、寝ていてやらせ様としても、よい癖がついているので、つい起きてやり、便はおむつ一枚も汚さなかった。吐く事で、おむつ全部使ってしまふ程だった。
12月25日 便よくなるが、ぐざる。夜中、ぐづぐづ云ふ。
12月26日
ぐざる。気に入らぬと騒ぐ。父ちゃんに行きたがる。姉の本棚の けんどん を
開けて探す。引き出しを開けて 玉子を掴み出す。
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