エッセイ集(多分、もう1つの物語の始まり)・・・・徒然の居間


故郷讃歌 (恐らくは「○○と××」の舞台?)

我が故郷は、まほろばの国・信州の中に忽然と現われる翡翠である。周囲を山々に囲まれた内陸に、諏訪湖と云う小洒落た宝石が鏤められ、その四季折々に移ろう姿は得も言われず美しい。殊に湖北に位置する岡谷の町は、湖水と大空の合わいに、その峰々の全てを霧が峰のアスピーデ上に見せる八ヶ岳を左に、中央には富士、右手には南アルプスさえ抱く、其の絶景を独り占めする贅沢な空間を持つ。それはキラキラ輝く眩ゆいものでは無くひっそりと深みを湛えた静かな美である。青春の日々を其の地で送った私には眼を閉じても浮かんで来る、お気に入りの場所が、心の裡に幾つか在る。そして其の心象風景の中には亡き父母の面影が在り、久しく会っていない友垣が居て師が居て、そして彼の女も居る筈である。ーー30余年ぶりの故郷・・・・
凛と音も無く、凍み透る様な冬の岡谷・・・・それも夜半、急に一面を真っ白に変えて降り頻る粉雪のシャワー。俄に遠景が霞んで、自分独りだけの世界に包み込まれる。ウィスキィーを引っ掛けた己ひとつ。人も車も絶え果てた時間の中にふと目をやれば、街灯の下にだけ淡く雪景色が浮かび上がっている。その光の輪の中に佇むは、彼の女の幻影か?・・・・その白い静寂の中をただ独り甘酸っぱい思い出だけを道連れに、黙々と流浪い歩く。学生時代からの習慣であるが、足元の無垢な新雪を踏む毎に、胸が疼く。堪らなく恋しい。遣り切れ無い懐かしさと、限り無い悔恨が切なく心の中を吹き抜けてゆくーー30余年ぶりの故郷・・・・
積もった雪が、家々を孤立の中に閉じ込め、却って窓々に其の愛の温もりを覚えさせる。聞こえ来るピアノの調べはエリーゼか?
その灯りの何処かに、つましい幸せを感じて暮らす佳人も居るのか・・・・ あの颯々と燃える様な俺の愛は何処へ行ったのか・・・・美しき時が過ぎた今、俺は一体どこへ向かおうとしているのだ・・・
思いの儘に生きて来た心算なのに、故郷・岡谷の冬は常に私を青春の疼きに蘇生させて悲しませる

人生で最も純粋だった日々は、今更ながらに美しい。

人は己の半生・人生を顧みる場合、その過去を「思い出」として
振り返るのが自然であろう。そして其の「思い出」には当然ながら、その時々の喜びや悲しみ、悲喜交々の喜怒哀楽を伴う筈である。−−だが変わり者の私は、敢えて先ず「思い出」では無い〔記憶〕の方を辿って試ようと考えた。それも、【此の世に生まれて最初の記憶】をお・・・・である。而して結構これが難しい。
私が生まれたのは、長野県本郷村(現富士見町)立場字乙琴 だそうだ。「カミナリ様が足の下で鳴っていた」と亡き母が聞かせて呉れた。当時としては珍しい父のカメラ好きの御蔭で、未だ貧しかった時代にも関わらず、私の兄姉は皆、豊富なスナップ写真と10冊近いアルバムを各自が持っている。この歳に成って想えばそれが無骨な父の、家族への深い愛情表現であった事に気付くのであるが。無論、0歳の私も写っている。・・・・が、この0歳〜3・4歳迄の富士見時代の記憶は全く無い。後年実際に兄に連れて行っても貰ったけれど、諦めが着くほど完璧に何1つも覚えて居無いのである。一体、人間は何歳頃から記憶を有し始める生き物なのであろうか?



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  ーー《予告編》ーー

第U部壮大なる史劇 (三国出現)

〔第11章〕・リセットされた争覇

  【第156節】→赤壁・・・その風穴・・・・(始動・胎動・再起)
  【第157節】→金魚のフンか背後霊?・・・・(目指せ漁夫の利)
  【第158節】→恐妻家 誕生す・・・・(美女将軍のウェディング)
  【第159節】→策謀の交差点・・・・(天が与えし荊の道)
  【第160節】→夢のしずく・・・・(周瑜 死す!)
  【第161節】→三国志の恋人・・・・(久遠の英雄)
  【第162節】→影の軍師 誕生す・・・・(汚名甘受の英傑)
  【第163節】→英雄・豪傑の息子達・・・・(関平・関興・張苞)
  【第164節】→復活のシンボル・・・・(銅雀台と求才令)
  【第165節】→三国志の七変人・・・・(カタツムリ仙人)
  【第166節】→宿命の兄と弟・・・・(派生する閥属)
  【第167節】→跡目決定!か?・・・・(五官中郎将・曹丕)
  【第168節】→厄介な糞ジジイ・・・・(反抗一筋70年!韓遂外伝)
  【第169節】→西の核爆発・・・・(馬超の強襲)
  【第170節】→軍神の奥義・・・・(大草原の単馬会)
  【第171節】→J の悲劇・・・・(謎の死の謎)
  【第172節】→東の激戦地・・・・(祖国防衛の象徴)
  【第173節】→鈍牛、月に吠える・・・・(賢君の苦慮)


〔第12章〕 ダメ男卒業、蜀を得る
〔第13章〕 皇帝への階段きざはし

〔第14章〕・・・・〔第15章〕・・・・